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Global Press

天災続きの韓国 国民の防災意識変わる


釜山市内のスーパー。自然災害の影響で青果物の高騰が家計を直撃している。

記録的猛暑と食材高騰

韓国では2016年は、大きな自然災害が相次いで起こり、人々の自然災害への認識を変える転換の年になった。

まず、夏には記録的な猛暑に見舞われた。韓国では夏に気温が30℃を超えることがあっても、湿度が上がることはなかった。しかし、今年は7月末から各地で軒並み35℃を超える猛暑を連日記録、しかも日本のような湿度の高さであったため、「こんな暑さは初めて」という驚きの声が全国で聞かれた。

この結果、家電量販店ではエアコンが例年の3倍の売れ行きとなったほか、扇風機、清涼飲料水や夏物衣料の売り上げがぐっと伸びた。その反面、熱中症による高齢者の死亡が相次ぎ、青果が急騰して台所を直撃。特に青果の急騰は9月に旧盆の祭祀を控えていたこともあり、白菜は1株1万ウォン(日本円で約910円)、ほうれん草は5,000ウォン(同460円)といった通常の2倍以上の値にハネ上がり、主婦たちから悲鳴が上がった。

大地震にパニック広がる

続いて9月12日には、1時間の間にM5クラスの地震が連続して起こった。震源地は南東部の都市・慶州近郊。このうち1回は韓国の観測史上最大規模を記録した。韓国では従来「地震が少ない」という認識があり、地震に対する慣れや経験は皆無に等しかったため、今回の強い揺れに人々はパニックに陥った。1ヶ月が経過した10月現在も、小さいながら余震が続いており、地震に対する国民の不安は高まる一方だ。テレビでは、今後の韓国での地震の可能性や対策について、日本の地震専門家から意見を求める番組が相次いて放映された。また、日本の防災グッズ、防災マニュアルも関心を集めている。

国民の意識転換の年に

そして地震のショックが覚めやらぬ10月6日、韓国南東部を台風18号が直撃。釜山市や蔚山(ウルサン)市などに大きな被害をもたらした。特に蔚山市は前月の地震でも大きな被害を受けており、市民は度重なる不幸にショックを隠せない様子だ。前述のように「自然災害が少ない」という認識が浸透している韓国では、高層マンションやビルが多く、建設ラッシュも続いている。しかし、今年の連続災害により、景観や高級感だけを重視した高層建築物の耐震性や安全性が疑問視されており、建築規制の見直しを求める声も上がっている。

世界規模で自然災害の多発や深刻化が伝えられる今日、韓国では今年の連続災害を教訓に、今後加速的に市民の防災意識が高まり、緊急備蓄などの対策が進むだろう。

(書き下ろし)

台風18号の通過で釜山では大きな被害が発生。


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