ギリシャで風邪の予防、また風邪をひいた際の特効薬?!といえば、ハーブティー「山のお茶」。ギリシャ語でチャイ・トゥ・ヴヌーといい、多くの家庭で常備薬のように保管されているお茶です。
ギリシャでは、年配の人に具合が悪いと話すと、「まず山のお茶を飲みなさい」と勧められます。少し酸味のある味で、いかにも薬草のお茶という感じの味ですが、ハチミツを入れれば美味しくいただけます。風邪のひき始めなら、このお茶を飲んでぐっすり寝れば、翌朝はすっかり元気になれるという人も。
山のお茶は学名をSideritisといい、地中海沿岸、特に南欧の高い岩山に自生するハーブです。風邪の予防、滋養強壮、胃腸を整え、貧血にも効くそうです。ギリシャでは古代ミノア文明の頃からハーブを栽培し、利用していたことが遺跡などから判明しています。医学の父と呼ばれる、紀元前5世紀の古代ギリシャ人医師ヒポクラテスは、ハーブの効能を詳しく研究していたと伝えられます。
医師で薬物学者のディオスコリデス(AD40~90年頃)は『薬物誌』にハーブの薬効を書き遺しました。ヨーロッパのハーブ療法は、この研究に基づいて処方されていたのです。今日のギリシャでも数千種類のハーブが研究されています。
山のお茶は自然食品店やスーパーにありますが、国外でも人気があるので、Greek Mountain Teaとして土産物屋でもよく売られているのを見かけます。乾燥させたものを束で売っており、ドライフ
ラワーのように見えます。
風邪予防以外にも様々な効能があり、万能薬と呼ばれる山のお茶。私は胃の調子が悪い時に山のお茶を飲みますが、カップ一杯のお茶を飲み干す間に、胃の痛みがすっとひいていくので、本当に助かっ
ています。寒い季節は、寝る前にハチミツを入れた山のお茶を飲むのを習慣にしています。ベッドに入る前に体も温まり、1日の疲れを和らげてくれます。
「(一財)ロングステイ財団 季刊誌LONGSTAY2017冬号」 掲載